一流の人はなぜ、A3ノートを使うのか? 横田伊佐男(著)を読んだ

パワーポイントで作った数十枚のスライドがまったく相手に刺さらなかった。

最後まで話を聞いてもらうことさえできず、プレゼンを途中で打ち切られた。

という苦い思い出がある。

思い出すだけでイヤな汗が……

なぜ、そうなった?

「一流の人はなぜ、A3ノートを使うのか?」にはその答えがズバッと書いてあった。

数十枚のパワーポイントのスライドよりも、手書きのA3メモのほうが価値を生む、というのだ。

広大なA3で思考を「拡大」する

本書の趣旨を一行に要約すれば、

A3一枚にまとめよ

だ。

A3で思考を拡大し、分割し、俯瞰する

まず、思考の拡大。A3は、普通に入手でき、持ち運ぶには最大級のサイズの紙。そのサイズの紙に、たくさんのアイデアを出していく。

紙が大きいと、多くのアイデアを出せる

やってみればわかるが、A3は大きい。

「書くところなくなるからこれは書かないでいいか」

というのがなくなる。

なんでも書ける。

そういった、なんでもないことも書いてみることが、思考の拡大だ。

著者がいうには、思考を拡大するにはコツがあって、それは「論点を疑問形で表す」ということ。

例えばこの本の要旨を、A3用紙にまとめてみたが、紙の上辺に、

〜の本の内容をどのようにまとめるのか?

というタイトルを記入することからはじめる。

「〜のまとめ」とか「〜について」だと、問題解決の論点がぼけてくるから。

「分割」で拡大した思考を整理し「俯瞰」する

次に、思考を分割する。

拡大した思考から、無駄を省き、整理するわけだ。

具体的には、3つに分割。それが難しいなら2分割。3つにまとめきれないなら多くとも4つにまとめる。

最後に、思考の俯瞰。「要約力」で1枚にまとめて、俯瞰する。

要約には、フレームワークを用いる。

要約し、俯瞰することの目的は、行動するため。1枚で俯瞰できれば行動しやすい。地図のようなもの。

フレームワークはA3ノート術必須のスキルだそうで。

思考し行動につなげるためのA3ノート術

それにしても「A3ノート」というのはピンとこない。

A3のノートなんて、見たことがない。そういった製品はほとんど存在しないのではないか。

あるいは、A4ノートを見開きで使うのか、とも想像したが、そうではないようだ。

著者が勧めるA3ノートは、オキナのプロジェクトペーパーだ。

▲プロジェクトペーパー。A3で5mm方眼。

でもこれノートではなく、レポートパッドというのでは?

ノート、というツールが、ある程度の枚数の紙を綴じた冊子であるとするなら、本書のタイトルの「A3ノート」という文言は適切ではないかも。

とはいえ「一流の人はなぜ、A3レポートパッドを使うのか?」とか「一流の人はなぜ、A3用紙を使うのか?」とかだとちょっと焦点がボケてくるかな。

やっぱり「ノート」としたほうが端的に内容を表しているといえるかも。

パソコンで思考しても「キレイな下書き」を量産するだけ

仕事には段階があって、前半(アイデア創出、思考整理、合意形成)は手書きのノートが、後半(共有、清書、プレゼン)はPCが強い、とのこと。

前半でPCを使うと、「浅い思考がきれいにタイプされていく」そうな。

冒頭のぼくのミスはまさにこれ。一見キレイなスライドを量産すると、仕事してる気分にはなれる。

お客さんにはまったく刺さらない、キレイな資料ができあがる。時間のムダだ。

余談だが、ぼくは打ち合わせや商談時には、互いの真ん中(たいていはテーブルがあるはず)にノートを置き、論点をメモする。相手にも、見えるようにして。

この本を読んでからは、A3用紙を使っているが、これがとても効果的でおすすめ。相手も身を乗り出して、紙を見たり、時には相互にガシガシ書き込みながら打ち合わせを進めると、認識のズレが修正でき、会話もはずむ。

お客さんは一枚にまとめないと読んでくれない

実は冒頭の失敗のあと、もう一度チャンスをもらった。

「こんな何十枚も資料もらったって読むヒマないんだから一枚にまとめてよ」

とのお叱りとともに。

数十枚のスライドをどうやって一枚にまとめればいいのか。

テーブルに印刷したスライドを全部ならべて、紙に手書きで要点をまとめ、何枚も書き直して構成を考えてから、最終的に一枚のスライドにまとめた。

数十枚のスライドの要点を一枚に要約するには、そうするしかなかった。

で、後日に再びプレゼン。今度は大絶賛をいただき、プロジェクトが動き出した。

このことから、一枚にまとめることの重要さが身にしみた。本書はそれを後押しし、さらに強化、洗練してくれそう。