「恋するオスが進化する」宮竹貴久(著)を読んだ ありふれた男と貴重な女の争いの物語

女と男。なぜ、神は性をこしらえたのか。

モテる、モテないの格差。性欲というこの地獄。

ヒト以外なら「モテるモテない」問題から逃れられるの?

性差、男と女。

クリスマスやバレンタインデーといった、やっかいなイベントの晩に、一人でぼうぜんとして酒を飲みながら、なぜ男と女が存在するのか、考えてみよう。

イベントじゃない、普通の日でも考えるけど。

生物学的には、多様性をもち、子孫を残しやすいように、オスとメスが存在しているそうだ。

いっそのこと、ヒトじゃない生物に生まれてたら楽だったかもな。クリスマスとかないし。

いやでも、このまえテレビでやってたけど、イッカクって生きもの、いるよね。北極海とかで泳いでるやつ。

かれらは、複数のオスがメスを奪いあうとき、あの長いツノ(正確には牙だそうな)を海上にさしだして、長さを競う。

長いほうがモテる。もてるオスはハーレムを作れる。勝者全取り。

モテるオスとモテないオスの格差があるのは、人間だけではないということに、ぼうぜんとする。酒が進む。

哺乳類以外なら「モテるモテない」問題から逃れられるのか?

猿とかでも強いオスと弱いオスに格差があるし、やっぱ哺乳類ダメか。

進化したらダメなんだよ。虫ぐらいまでいくと、もうモテるモテないの差はないんだろう。いいよな虫って。

適当にそのへん飛んだり跳ねたりしてたら、彼女できるんだろうな。まさか虫にまでイケメンかどうかなんて悩みはないだろう。

と考えてたんだけど、本書「恋するオスが進化する」を読んだら、虫の世界への甘い考えをくつがえされた。虫にもイケメンとブサメンはいるし、モテるモテないの格差はある。

虫でもイケメンなオスはモテモテだった

ある虫のメスは、オスがもってきたお土産の大きさで、交尾の時間を決める。大きなお土産なら長く。小さいなら短く。

ある虫は、両目の間が離れているほどイケメンでモテるそうで、そういうオスがモテて子孫を残しやすいため、生活に不便なほど両目の間が離れたオスが発生することもある。

虫にもしっかりと顔面偏差値で格差があるのだった。

お土産と交尾。イケメンと交尾。オスとメスの利害関係が一致しているならまだいい。しかし、オスががんばりすぎて、メスの不利益になるような変な方向に進化したケースもあって、それはもう虫の世界は大変だ。

オスの一人として、いちばんおそろしいのは、セメントマッチの話。どんな虫のどんな話なのかは、読んでみてね。

最後に、生きているかぎりは逃れようのない「性差」という業を、冷徹に表した一文を引用して、この記事を終えたい。

メスを巡ってオスが争い、メスがオスを選り好む形が普遍的になったのは、卵を作るメスのほうがたいていの場合は貴重な資源であり、オス(精子)はあり余った性だからだ。つまり卵に比べれば個々の精子は安っぽくてたくさんあってあり余っている。だから男同士、そして精子同士は相争うのである