「アリータ:バトル・エンジェル」を観たので感想を書く【ネタバレ有り】

▲公式より。

「アリータ:バトル・エンジェル」は、木城ゆきとの漫画「銃夢」を原作としたサイバーパンク・アクション映画だ。

スクラップから再生されたサイボーグ少女アリータが、失った記憶をたどってたら元戦士だったらしく、戦いに惹かれていく。10代の少女らしく恋もして……

予告映像で、日本のアニメ風に目が大きく加工されたアリータの姿にはおどろいた。実際に観てみたら……?!

こんな人におすすめしたい 原作「銃夢」のファンはもちろん 原作未読でもSFアクション好きならはまる

原作「銃夢」が好きな人は絶対に観よう。原作の再現度が高く、楽しめる。

映像の美しさとアクションの派手さは最高で、ストーリーもわかりやすいので、原作を読んだことない人にもおすすめ。

銃器が禁止されている世界なので、戦闘は徒手や剣やハンマーや鎖がついたトゲトゲとかで。それだけに、銃をぶっ放してるだけ、ビーム撃ってるだけ、みたいな大味な戦闘ではない。前半ではキレッキレのカンフーアクション、後半ではこの世界の競技「モーターボール」によるハイスピードなバトルを楽しめる。

アリータのキャスト 原作の再現度高いがヒューゴはいかがなものか

アリータ (演 ローサ・サラザール)

原作漫画での名はガリィ。漫画が海外展開する際、男性的な名前なのでアリータに変更された。

演じているローサ・サラザールという女優ははじめてみた。映画公開時で33歳で、アリータを演じるのに適した年齢なのか、という疑問はあったが、顔も身体もCGでここまで加工してると、そこは気にならず。

ダイソン・イド (演 クリストフ・ヴァルツ)

この俳優も初見だった。原作のイドの「優しいサイバネ医師」という一面はよく再現できてたのでは。

原作の暗黒面まで再現すると気持ち悪くなるのでこれでいい。

チレン (演 ジェニファー・コネリー)

映画オリジナルキャラかと思ったら、1990年代に制作された銃夢のOVAに登場するらしい。キャメロン、そんなところまでチェックしてるのか。

ベクター (演 マハーシャラ・アリ)

クズ鉄町のフィクサー。ビジュアルは原作の再現度高い。キャラ設定が大幅に変わったのは脚本上、しかたない。

ザパン (演 エド・スクライン)

スクライン氏、ヒジョーにイケメンなのだが、「トランスポーター イグニション」ではステイサムのような存在感を出せず、次作がでないということはシリーズのリブートは失敗なのだろう。「デッドプール」では小物感あふれる敵役にほどよくおさまっており。

漫画原作ではモーターボール編の後に「ザパン編」があり、ガリィ(=アリータ)の生き方を大きく揺さぶるほどのストーリーで、銃夢ファンから人気が高い。ほとばしる愛憎。うずく狂気。正とは、悪とは。私もザパン編大好き。

スクラインがサイボーグみたいな美形なので、顔面以外がすべてマシンでも違和感無しに収まっていて、これってスゴいことなのでは? キャラ的にも、執念深い小悪党としていい仕上がりだった。

グリュシカ (演 ジャッキー・アール・ヘイリー)

ヘイリーは2014年版のロボコップに出ているらしいが、どの役? というかこれだけCG加工されると、もう俳優が誰だとかいう意味はほとんどない。

原作ではマカクという名前で、生理的嫌悪さを極めたような気持ち悪いキャラだが、本作ではフツーのパワー型やられ役だった。原作を再現したら吐き気をもよおすから、実写映画ではこれぐらいがいい。

しかし原作のマカクは気持ち悪いだけでなく、味わい深さもある。マカク編は1〜2巻で、1巻は2019年3月2日現在、Kindleで無料で読めるのでぜひ。

ヒューゴ (演 キーアン・ジョンソン)

原作漫画ではユーゴという名前。

原作の再現度が低い。重要な役割なのになー。本作の最も残念なところか。

もっとこう、純粋かつ危なっかしい、ガラスの10代みたいな少年にしてほしかった。ターミネーター2のジョン・コナーみたいな。このお兄ちゃんだと、ザパンに追いかけられても危機感がない。アリータ急いで! みたいな共感を呼びにくい。

制作 キャメロンがアバター続編にかかりっきりで映画化が遅れたが

ジェームズ・キャメロンが製作、ロバート・ロドリゲスが監督をつとめた。

原作の「銃夢」は、集英社「ビジネスジャンプ」で1991年から1995年にかけて連載されたSF漫画作品。連載時、たしか私は高校生で、スーパーの雑誌売り場で夢中になって立ち読みしてた記憶がある。

日本のマンガ、特撮映画、ロボットアニメが好きなギレルモ・デル・トロ(パシフィック・リムの監督)がジェームズ・キャメロンに銃夢を紹介し、キャメロンも本作を好きになり、映画化を決意した。パシリムといいアリータといい、ギレルモいい仕事する!

キャメロンは特にモーターボールが気に入っており、本作では原作以上にモーターボールが重要な位置付けとなっている。

しかしキャメロン、大ヒットしたアバターの次作のためアリータに手が回らず、ロバート・ロドリゲスを監督に招いてようやく映画化が実現した。

アリータ:バトル・エンジェルの評価 原作再現度は高く 派手なアクションと映像美に興奮できる

原作の再現度が高く、旧来からのファンは涙しながら楽しめる。わかりやすいストーリー、派手なアクション、映像美で、原作知らない人にもすすめたいし、これを機会に原作も読んでほしい。

本作の最大の懸念は、アリータの目だった。実写の人間の目を日本の漫画調に大きく加工して、そういった加工をしていない実写の人間と共演させる。予告映像を初めて観たときは違和感バリバリで、これは失敗かも、と不安になった。

しかしながら、何度か予告映像を目にしているうちに違和感は薄れて、映画がスタートするとほぼそれはゼロに。バーサーカーボディを装着したころになると、漫画原作そのままのガリィがそこにいて、目を大きくしたのは成功であり、もはや目を大きくしなければガリィ=アリータは実写では再現できなかった、とまで思った。

華奢な少女の体格に、黒いロングコートをまとった姿や、バーサーカーボディの造型が見て取れるノースリーブシャツ姿は原作通りにカッコいい。

アニメ調の美少女が、細い体躯で操るキレッキレの機甲術(パンツァー・クンスト)。下肢と片腕が切断されても、残る腕で反撃する闘争本能。美しい。

尺の都合上、ジャシュガンとの対決までは話には入れられなかったのだろうが、チラリと登場して機関拳(マシン・クラッツ)を見せてくれるあたりは、制作陣もホントに好きなんだな、と。

クズ鉄町が“クズ鉄町”していない ヒューゴのミスキャスト 「アリータ:バトル・エンジェル」の難点

次に難点を。

クズ鉄町が明るすぎる。原作のくず鉄町はもっと不潔でジメッとして治安が悪くて、まさにサイバーパンクだ。

いっぽう、本作では日差しが明るくカラッとしており、フツーの過ごしやすい町に見える。農場が職場でオレンジを収穫でき、道ばたで大きなチョコが売ってて。モーターボールの観客の風景、現代のメジャーリーグとあんまり変わらないよね。

なので、ザレムとクズ鉄町の上下関係にさほどインパクトがない。

そして最大の難点が、ヒューゴがミスキャストかなー、と。先にも書いたけど。

ヒューゴが、そのへんにいるうまくやってる兄ちゃん、ぐらいにしか見えない。追いかけられても、ぶら下がっても、感情移入しにくい。少年の持つ純粋さゆえに悪事に手を染めてしまう危なっかしさ、みたいなのがにじみ出てると、よかったのだが。

原作の、地上とザレムをつなぐパイプ上の二人がいる風景の美しさといったら! 木城先生はこういった「空気の薄い風景」のはかない美しさを、なんてうまく描くんだろう。

……脱線した。「ターミネーター2」の幼いジョン・コナーや、「タイタニック」で二人の美しいシーンを描いたキャメロンだからこそ、木城先生の風景の再現に期待したかったが。

続編作る気満々のラストだったので、そこは期待したい。

ジャシュガンとの戦いや、ザパン編も実写で観たいが、クズ鉄町でバトルくり広げるのも二番煎じだから「アリータ:バトル・エンジェル2」はバージャック編だと予測する。アリータの新しいパートナーのフォギアも出るし。

ヒューゴ役の人、筋トレしてマッチョになったら、ビジュアル的にはフォギアのほうがしっくりきそう。

銃夢(1)をKindleでチェック! イドがガリィを再生し、マカク戦までを収録。2019年3月2日現在、無料で読めるので是非!
銃夢(2)をKindleでチェック! マカク編決着。ユーゴ編を収録。この巻の終盤が映画版のラストあたり。美しく悲しい二人の別れを原作で是非!
銃夢(3)をKindleでチェック! 原作ではユーゴと離別してモーターボール編に突入。ハイスピードでのサイボーグバトルを原作で是非!
銃夢(4)をKindleでチェック! モーターボール編決着。映画ではチラリとしか登場しなかった帝王ジャシュガンとのラストバトルがアツすぎるので是非!

原作漫画と映画版の関係は上記のとおり。