システム手帳のおすすめブランドとバインダーをまとめてみた

システム手帳のおすすめブランドと、バインダーのまとめ。

自分でつかったか、あるいはさわったことのあるもの限定。

アシュフォード(ASHFORD)

アシュフォードは1986年に日本でシステム手帳を発売した、国内最古のメーカーのひとつ。

文具店や書店のシステム手帳コーナーでもよく見かけるので、営業に力を入れているのかな。

システム手帳ユーザーはスマホ普及前と比べると随分と減ったが、それでも意欲的に新製品を開発しているメーカーだ。

あらゆるものが薄く軽くなるなか、リング径が20mm以上の厚いバインダーも愚直に作り続けており、ヘビーユーザーにはたのもしい。

アシュフォードの特長は、クラシカルなデザインのバインダーを得意としているところ。30年前の製品を復刻したプレスコットなどはその象徴だ。

アシュフォードからオススメのバインダーとしては、

  • 低価格だがけっこういい感じの「ディープ」
  • 最高級シリーズにふさわしい美しい革の「ルガード」
  • 30年前のものづくりがよみがえった「プレスコット」

を上げてみよう。

低価格だがあなどれない「ディープ」

アシュフォードでオススメできるバインダーは、価格が低いものだと「ディープ」シリーズだ。

▲ディープ。このシリーズの前身である「ローファー」のリング径30mmのモデルをつかっているが、いい。

なにがいいかというと、

  • 柔らかな水牛の革をつかっており、開きがよい。
  • 財布状の背面ポケットで収納力が高いが、厚ぼったくはない。
  • 艶があって、手になじむ革なのに、値段がおさえめ。

といったところ。

ディープはローファーの特長を受け継ぎつつ、裏側にファスナーポケットを増設、ペンホルダーが可動式に、と改良を加えた。値段はローファーの15,000円から1,000円安くなり、14,000円に。

ディープのバイブルサイズはリング径19mmのみなので、11mmや30mmがほしいならローファーの在庫を探してもいいだろう。

他社も含め、1万円台前半のバインダーは低コスト感がただよい、正直あまりおすすめできない。塗料を厚塗りしているのか、革というよりはプラスチック感が強く、硬くて開きも悪いものが多い。

その中で、ディープとローファーは例外。それほど安っぽくなく、革の質感もしっかりと楽しめる。

宝石のように美しい革のエイジングと手触り ルガード

▲アシュフォードのルガード。バイブルサイズ25mmで税込32,400円と高額なバインダー。

作りがよく、革が美しく、文具屋に行くたびにルガードに触ってウットリしてしまう。

牛革のショルダー部分を、ベルギーで植物タンニンで鞣し、水染めしたという革。赤、黒、紺などから色が選べるが、ルガードなら赤が美しい。

革そのものは上質でも、厚すぎたりゴツすぎたりで硬くなり、開きが悪いバインダーもあるが、ルガードは縫製や漉きで工夫しているのか、使い勝手も問題ない。

また、店頭のサンプルには是非注目してほしい。多くの人の手に触れるためか、エイジング(または劣化ともいえるが)が速く進むようで、経年変化がわかりやすい。

皮革にこだわったという割には、実はそれほどでもというレザー小物も多いが、店頭のサンプルのルガードは、新品の美しさに、磨いたガラスのような質感が加わり、とてもいい雰囲気となっている。

弱点としては、コバの塗りが割れてくること。プレスコットのような処理をしてくれたら完璧だったんだけど。

なつかしくも新鮮な「プレスコット」


▲アシュフォードでもうひとつ、気になるバインダーが「プレスコット」だ。これも、文具屋に行くたびに手にとってしまう。

1980年代の製品を復刻したという。ただ単に形を復刻しただけでなく、革のなめしや着色、コバの処理も当時のものをできる限り復刻したというこだわりよう。

革はフルタンニンレザーで、経年変化がはやい。染色が、通常のドラム染色ではなく岡染め方式なので、表面にしか色が付かず、使いこめば色落ちしていい味わいとなる。

店頭サンプルでもいい感じに色落ちしており、味わい深く、これは自分の手元に置いて革を育てたいな、と思う。

プレスコットが他のバインダーと大きく異なる点が、本のようなスクエアバックの背表紙だ。

▲アシュフォード公式より。

上がプレスコット。システム手帳は下のような丸い背表紙が一般的で、プレスコットのようなスクエアバックは珍しい。というか他に見たことがない。

▲アシュフォード公式より。

180度、べったりと開くのがスクエアバックの特長だ。

店頭で実際にプレスコットを手にしてみると、今風のしっとりしたいかにも高級そうな革ではない。わざとらしい発色の、なんだか古くさい雰囲気の革だ。

昔の作り方で作ったので、古くさくて当然なのだが、正直、30,000円という価格に見合った雰囲気は感じない。同じ価格のルガードのような、輝く宝石のようなオーラはない。

しかし、いじくり回しているうちに、これはなんだかいいものかも、ということに気づく。

まず注目したいのはコバの仕上げ。

▲アシュフォード公式より。

上がプレスコット。下は、近年のシステム手帳によく見られる、粘度の高いコバ液を盛った仕上げで、一見きれいだが、つかっていくうちに割れて、はがれる。写真でもすでに、割れている。

プレスコットのコバ処理は凝っていて、粘度の低いコバ液を浸透させ、繰り返し磨いて仕上げている。手にしてみるとわかるが、これは割れたりはがれたりはしないだろう。

わざとらしい発色で、高級感を感じない革も、上記のように30年前の手法で作っているから。

▲アシュフォード公式より。

前出のように、この革は経年変化が早いので、つかいこむとこの写真のように色落ちしてくる。こすれるところや可動部から変化しているのがわかるだろうか。

プレスコットの造型は、30年前に日本に上陸したファイロファックスのウィンチェスターの影響を受けているのだろう。ホック止めのベルト、長辺センターに位置したペンホルダーなどに、それがうかがえる。

ヤフオクでビンテージのファイロファックスを入手しようかと考えているが、プレスコットを手に入れて使い込み、自分の手で経年変化を楽しむのもいいかもしれない。

ノックスブレイン(knoxbrain)

▲ノックスブレインは、1985年にシステム手帳を発売した、老舗のメーカーのひとつ。

リフィルやアクセサリーも含め、総合的なシステム手帳の世界を提案し、国内の市場を支えてきたのはアシュフォード、ノックスブレイン、バインデックスだった。

アシュフォードは前述のように、クラシカルな分厚いジャケット(バインダー)を作り続けているが、ノックスブレインはスマホ普及を背景に、薄くて軽いバインダーの開発に舵を切っているようだ。

アグレッシブで前衛的な製品も多い。

えー、これホントに製品化したの〜?

というチャレンジングなバインダーも多いが、だからこそルフトのような野心作も生まれるのだろう。

ノックスブレインからは、以下の3つのバインダーを紹介したい。

  • 究極に薄い「ルフト」
  • 洗練された現代的なデザインの「ユナイト」
  • 豚革をコードバンのように加工した「プレジオ」

究極に薄いバインダー「ルフト」

▲ルフトは究極に薄いバインダー。

▲実際に買って使ってるが、薄くて軽く、綴じ手帳に近い感覚だ。

システム手帳って、ユーザーがリフィルを書いて育てていくもの。書いて書いて、有用なリフィルがたまるにつれて便利で手放せないものになっていく。

それだけに、最初はつらい。分厚いシステム手帳を買って、意気込んであれこれとリフィルを選んでセットしても、実はなんの役にもたたない。全部白紙だから。

▲30mmリングのローファーと、11mmリングのルフト。

でかくて重くて、白紙のたばであるシステム手帳。役に立たないので持ち歩かない。

持ち歩かないから書く機会もない。

そのうちあきてやめてしまう。……というユーザーを、何人か見てきた。もったいない!

▲ルフトの構造。一枚革でポケットはない。コバの処理も必要最小限だ。

ルフトは、手帳をつかう上で最も重要な、「持ち歩く」ことが簡単だ。レフト式のウィークリーと、方眼メモあたりを適当にセットして、綴じ手帳の気分でつかえばいい。とにかく持ち歩いて、書いて、見返す。これを習慣にすることで、自己管理能力がアップするし、過去の自分の思考から気づきを得る、ということが増えくる。

そこまでいけば、手帳は相棒だ。半年もたったらリフィルがあふれてくるから、数百円の保管用バインダーを買って、過去のリフィルを整理しよう。持ち歩きたいリフィルが増えて、ルフトでは対応できなくなったら、16-20mm クラスのちょっといいバインダーを買う、というのがオススメのシステム手帳入門コースだ。

ルフトのバイブルサイズの弱点が、リングの品質が悪いこと。コストダウンのためか「WORLD WIDE」というきいたことのないブランドのリングが使われていて、入手したバインダーは指をケガするレベルだったのでヤスリとペンチで修正した。

店頭のルフトを確認しても、大半がリングの噛み合わせに問題があるレベル。やはりクラウゼでないと。

ルフトはすでに製造中止。ノックスブレインから独立し、新たなブランド「プロッター」(後述する)に発展したが、こちらではクラウゼリングとなっているので、WORLD WIDEの品質の低さはメーカー側も認識していたのかも。

一見地味だが洗練されたデザインの「ユナイト」

過去につかっていたノックスブレインのバインダーで忘れられないのが、「ユナイト」だ。

▲ベルトの剣先が、表紙内部に収納され、露出しない構造となっている。システム手帳をカバンに出し入れするとき、ベルトが引っかかるというのはよくあるが、ユナイトだとそういうストレスがない。

リングは16mm。中途半端なようだが、これがけっこう使い勝手がいい。20mmほどヘビーでなく、11mmほど収容力が低くない。カバンにも収納しやすい。手の中でのおさまりがいいのに、意外なほどリフィルは入る。

革も、使いこむと透明感が増す、いい革。カラーはいくつか種類があるが、黒×赤がカッコいい。外は黒革に赤色のステッチ、開くと鮮烈な赤という派手さ。

たぶん、もう10年以上も前からある製品なんだけど、それだけ続いているのは隠れた人気商品なんだろうか。

コードバンのように仕上げた豚革 こだわりのスナップボタン 「プレジオ」

店頭でさわって、最も気になっているバインダーが「プレジオ」だ。

なんと、豚革をつかっているそうな。

▲ノックスブレイン公式より。

メーカーでは「コードバンと同様なアプローチで仕上げた新開発の革」と述べている。

さわった感じ、確かに牛や馬とはちがう。重厚さはなく、軽やかではあるが、張りがある。

フルベジタブルタンニンなめしとのことで、エイジングも面白いはず。使いこむと、どのように変化していくのか楽しみ。

日本製らしく縫製が丁寧で、作りがよく、端正な雰囲気なのが気に入った。ベルトがボタン留めなのも個人的に好み。このボタンもこだわったものだそうで、確かに留め外しの感触に節度があり、しっとりしているというか。

リングは16mm。前述のように、この大きさのバインダーは大活躍する。

かなり気に入っているので、近いうちに買ってしまうかも。

ファイロファックス(fILOFAX)

ファイロファックスは1921年設立の、システム手帳をこの世に生みだしたメーカーだ。

日本のメーカーのように、革や縫製にこだわった製品づくりではない。実用的な文房具という位置づけか。

▲オリジナル。イギリス製だそうで。

1921年世界で初めてシステム手帳を作り出した、ファイロファックス社の当時の製法をモチーフに、厚手の牛皮を一枚仕立てでデザインしております。

▲ファイロファックス公式より。

当時の製法をモチーフに、としているが、ウィンチェスターのような雰囲気は皆無だ。牛革をザックリ切ってザッと縫い合わせた、コバの処理もしていない切りっぱなしの実用品。でも、これはこれでいい。

生産が中国にシフトした1990年代後半から2000年代後半あたりまで、日本国内のファイロファックスの値段は品質に比べて明らかに高過ぎた。

樹脂コーティングした安い革なのにいいお値段だった「クロス」とか。

フラッグシップの「イートン」なんて、たしかにいいシステム手帳だけど65,000円もしていた。

そのころの高級ブランドのふりした路線からすると、現在の実用品に徹した製品展開は好感が持てる。正直、まだ少しお高いが、ブランド料ということで。

2021年には100周年記念で、またウィンチェスターが復刻されることに期待したい。

新たな世界観を作り出せるか ルフトが発展した「プロッター」

ヒットしたルフトを発展的に解消し、ノックスブレインから独立させて独自のブランドとしてスタートしたのが「プロッター」だ。

すでにノックスブレインではないのだが、母体が同じデザインフィルであることと、ノックスブレインから派生したということで、ここで紹介したい。

▲プロッターにはA5、バイブル、ナロー、ミニ6の4つのサイズ展開があり、革のグレードは3種。カラーも各色あるので、製品数はどれほどになるのだろうか。

シュリンクレザーのバインダーはいちばん安く、ルフトにも同様のラインナップはあった。

ちがうのはリング。ルフトのバイブルサイズのリングは低コストで、精度が低く噛み合わせが悪い。リフィルはすぐに痛むし、指を怪我するレベルだった。

プロッターはルフトよりも少し高くなっているが、リングが高品質なクラウゼで、ルフトとはもうまったくちがうため、今から選ぶなら値段よりもリングの品質でプロッターのほうがいい。

デザインフィル、プロッターにホントに力入れてるんだなと実感するのが、シュリンクよりも高級ラインの「ホースヘアー」と「プエブロ」だ。

ホースヘアーは少し革が分厚いが、野暮ったさはなく、表面処理が洗練されていてカッコいい。これはまあ、革小物が好きな人なら欲しくなる。

プエブロは、表面が起毛しているのでスエードかと思いきや、わざわざ金属ブラシでこすり、こういう処理をしているそうな。

つかっているうちに起毛が落ち着き、滑らかになり、エイジングが進んでツヤが出てくるとのこと。

ホースヘアーと同様、少し分厚い革だが、そのぶん硬いので書きやすい。

デザインフィルは、MDノートやトラベラーズノートなど、製品ごとのブランディングというか世界観の作り込みが異様にうまいので、プロッターもぜひ、成功させてほしい。

オススメのシステム手帳バインダーの選定基準は?

ということで、オススメのシステム手帳バインダーをまとめてみた。

システム手帳のメーカーは他にもあるが、アシュフォード、ノックスブレイン(とプロッター)、ファイロファックスを選んだ基準は、

  1. 1980年代(あるいはそれ以前)からシステム手帳を作り続けている老舗である
  2. リフィルやパーツも含めた製品展開をしている
  3. 文具店や書店で製品を手に取りやすい

の3つだ。

実は、バインデックスもこの基準にあてはまるんだけど、正直、近年はバインダーに力を入れていないようで、オススメできるものがない。

リフィルは最高なんだが、廃番も相次いでいてちょっと心配。

黒×金のルフトにバインデックスのレフト式ウィークリーをセットすれば、「ほぼ能率手帳ゴールド」が作れたりする。

そんな遊びができるのも、規格が統一されてさまざまなバインダーやリフィルを組み合わせることができるシステム手帳ならでは。